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「菅笠伝承支援活動」~菅農家との懇談会を経て思うこと~

過日8月20日(木)、菅笠の保存・伝承に尽力されておられる城山孝様をはじめ、菅農家の皆様に貴重なお時間を頂戴し、菅笠の歴史や、菅の栽培について講義をいただいた。また思いもよらず急遽、菅笠の実演をいただき、大変有り難い機会となった。

 

越中・富山の「伝統工芸」について、読者投票でランキング付けをした「第5回 とやまキトキト100選」(北日本新聞 平成26年6月1日記事を参照)によると、第1位は井波彫刻、第2位は高岡銅器、そして第3位に「福岡菅笠」がランクインしている。

真夏の菅の刈り取りとなれば、必ずと言っていいほど、新聞紙面に取り上げられ、また今年にはイグサ刈り機を改良した機械の導入を試みられるなど、菅の保存・継承に向けて、その気運は高まりつつあるものと感じる。

菅農家の方々との懇談会を通して、富神青が考える問題の所在は以下の5点である。

イ、対 行政

ロ、広報手段

ハ、後継者不足

ニ、越中福岡と摂津深江

ホ、実働支援の在り方

「イ」・「ロ」に関わる事柄として、高岡市では『越中福岡のスゲ栽培マニュアル』(平成25年3月刊)を発行されるなど、より細やかな支援体制の構築を目指し、菅栽培振興政策を展開されている。しかし、これからの未来に向けてどのようなビジョンを描いておられるのか解りえない部分もあるので、次は行政側にもお話を伺いたい。

「ハ」は、今に起こったことではなく、長年懸念されてきたことである。農家は70、80代の方が多く、菅の栽培は重労働を伴うものであることから、最も差し迫った問題である。

「二」は、菅の産地としては越中福岡の他に、摂津国(現、大阪府)の深江が知られており、後者にあっては古来より神宮式年遷宮の御神宝・菅御笠と菅御翳を調進されていることでも有名である。機会があればぜひ訪れたい地である。

「ホ」は、当会でも一昨年7月に菅の刈り取りと天日干し作業を体験し(詳細はブログを参照)、同様の取り組みは、高岡市でも体験事業を展開しておられる。確かに貴重な体験ではあったが、果たして菅農家の方々に対して、どれ程の力になれていたのだろうか。ただ関わるだけでは何の解決にも助けにもならないため、実働支援のあり方はよくよく考えなければならない。

以上、縷々述べたが、神職として、また越中に住まう者として、郷土の誇りある「菅」を守り伝えて行くべく、今後も活動を続けていきたい。

(田中天美)

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