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Archive for 7月 28th, 2014

観月祭・月読命について

多久比禮志神社(富山市塩鎮座・林文雄宮司)

昨年、旧暦8月15日中秋の名月にて当神社で、初めて「観月祭」を斎行致しました。

各お社で行われていると思いますが、始めたきっかけは、 「太陽の光を受けて、夜をやさしく照らしてくれるお月様に感謝しよう」というのが発端であります。

もちろんお月様と関係が深い神様は月読命であります。

神話の中でイザナギ命より「天照大御神」「月読命」「須佐之男命」の三貴子がお生まれになり、それぞれ高天原、夜、海原を治めよ、と命じられました。これはみなさんご存知かと思います。

よく聞く名前の神様ではありますが、古事記において月読命はこれ以降現れることはありません。

天照は神明社、須佐之男は八坂神社にお祀りされていることが多く、神社の名前も聞いたことがあると思いますが、月読は月読神社…??

『富山県神社誌』(富山県神社庁編)では、県内2289社(富山303、上新川郡102、中新川郡210、滑川市98、下新川郡117、黒部市62、魚津市97、婦負郡222、高岡市195、新湊市67、射水郡72、氷見市170、砺波市116、東砺波郡201、小矢部市116、西砺波郡105)ありますが、そのうち月読命をお祀りしているのは、富山市月岡新鎮座の「壇山神社」と高岡市太田鎮座の「有磯神社」の2社だけでありました。

我々の生活と月は大変深い関わりがあるのに、三貴子のなかで月読命をお祀りする神社がなぜ少ないのか疑問に感じたこともお祭りを行う一つの理由でもありました。

そもそも、私たちと月にどのような関係があるのでしょうか?

月のはじめを「ついたち」と呼びますが、その語源は「つきたち(月立ち)」の変化と言われています。立つというのは出現、現れると言った意味があり、昔は月の満ち欠けで月日を数えていました。

新月が現れる日がその月の最初になります。そして徐々に月が満ちていき、15日目が満月となり、また欠けていく。新月→上弦の月→満月→下弦の月→新月のサイクル。1ヶ月29.5日周期を繰り返し、月日を刻んでいました。

ですが、これでは29.5×12=354日となり、季節がずれてしまいます。そこで3年に1度、年13ヶ月となる年を設け調整しました。それが閏月です。

昔の行事を今の暦にそのまま直してしまったので季節感がないのはこれが原因となっています。

本来であれば、旧暦にそって物事を進めていけば良いかもしれませんね…

日付だけではなく月の満ち欠けは我々の生活に大変深く関わりあっています。

農業、潮の満ち引きや身体のバランス等々です。

満月の日には出世率が高くなり、出血量も増えるといわれています。血液や体液が月の引力で引っ張られ神経が活性化すると言われています。さらに力が漲り、吸収力が強まるとされています。ですから満月をみて狼に変身するという話もこれらから転じた物だとされています。

人間だけではなく、作物も基本的に満月近くになると栄養を吸い取るので、水や肥料が不足になると言われています。

お祭りは一年に一度ですが、常日頃お月様にも感謝したいと思います。

では当日の祭りの風景をごらん頂いて終わりたいと思います。

観月祭【神事の部】祝詞を奏上する林会員

明かりは幣殿のみ。参列者の方には月の明かりを感じてもらいました。

観月祭【雅楽の部】境内に舞台を作り雅楽演奏

ふるさと、君が代、もののけ姫など

観月祭【雅楽の部】豊栄の舞と地元小学生による浦安の舞を披露

写真は豊栄の舞

(林貞文)

 

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