// archives

Archive for 5月, 2016

伏木神社春季例大祭(けんか山祭り)

    今回は、伏木神社(高岡市伏木鎮座)の春季例大祭(通称、けんか山祭り・高岡市無形民俗文化財・とやまの祭り百選)について紹介します。

社殿

鳥居に掲げられた扁額

    ・伏木神社の由緒
    伏木神社は、聖武天皇の御代、天平4年(732)9月に海岸に奇端があったので、神明宮として伊勢の神宮から布師浦(ふしうら)の蔵ヶ浜(ぞうがはま)〈今の万葉埠頭の沖合辺り〉に勧請され、海岸鎮護・住民の守護神として創祀されました。
    万葉の歌人で知られる大伴家持卿が越中国守として在任の頃、当社を崇敬したと伝えられています。
    その後、幾度となく波浪の浸食により鎮座地を遷り、江戸時代の末期、文化10年(1813)9月24日、現在の地(国府別館の跡地)に遷座しました。この時、神幸供奉として伏木曳山が造られ、勇ましい曳山行事となって現在に至り、ますます神賑わいを極めています。近郷11ヶ村の総社として崇敬され、氏子の繁栄につれて神輿の渡御が行われ、そのお供として母衣武者行列(ほろむしゃぎょうれつ)、花傘、行燈などが作られて賑わいました。

神輿

    ・春季例大祭(通称、けんか山祭り・高岡市無形民俗文化財)について

花山車〈はなやま〉全体

花山車〈はなやま〉を見上げる

    伏木はその恵まれた立地から、天平の時代には越中の国府が置かれ、近世以降は港町として繁栄してきました。伏木曳山祭りは、海岸鎮護・海上安全の神である伏木神社の春季祭礼として毎年5月15日に行われます。
    曳山祭りでは、昼には威勢のいい掛け声とともに練り歩く花山車や、神輿の巡行に供奉する子供たちの母衣武者行列が見られ、夜には提灯山車が目もくらむような激しいぶつかり合いを繰り広げます。
    伏木曳山祭り、別名「けんか山」は、華やかさと勇ましさが融合した港町の心意気で満ち溢れており、伝統と心を今に伝える大切なお祭りです。

夜山=提灯山車〈ちょうちんやま〉

山車と山車が全力でぶつかり合う「かっちゃ」

    曳山の創設は、文政3年(1820)に始まると思われます。
    建造に着手した直接の動機は、鎮守の神明宮(現在の伏木神社)が波崩れの災いに遭って、文化10年(1813)に現在地へ遷座した機会に求められます。
    しかし、曳山の福神に、天明元年(1781)の銘があることや、「やま」ができる以前は、祭日に福神を船問屋の座敷に請じ祀ったという伝承が残されていることなどから、計画はもっと早く、安永の頃(1772~80年)にまで遡ることができると思われます。
    当時、伏木浦は、享保年間(1761~35年)に完成をみた加賀藩の港湾制度を受けて、八軒問屋の成立に代表されるように、藩米の回送や北海道に至る北日本沿岸諸港との交易によって、海運・商業活動がひときわ盛んな時期を迎えていて、明和4年(1767)には、渡海船119艘を持つまでに発展していました。
    また、明和・安永の頃は、近隣の放生津や城端などの諸町で、競って曳山を新・改造する気運が盛り上がっていましたから、曳山創設の計画が動き出すのは、むしろ必然ともいうべき状況下にあったのです。さらに、文化・文政(1804~29年)に一時期を画した芸術的な環境も、それに拍車をかけたと思われます。
    伏木の曳山は、このような状況のもとで、「子孫万代」「延寿長生」「宝来招福」等をテーマに、順次完成したものです。

朱と金地の鮮やかな装飾

激しく燃える炎のような夜の山車

 

2016年5月
« 3月   3月 »
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031