富山県神道青年会 遷宮啓発委員会
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伊勢の神宮参拝記 – 内宮編

「内宮」(ないくう)

 正式には「皇大神宮」(こうたいじんぐう)と称し、天照大御神(あまてらすおおみかみ)を御祭神とし、第11代垂仁天皇26(紀元前4)年に鎮座されたと伝えられています。
 天照大御神は皇室の御祖神であり、歴代の天皇陛下も深くご崇敬になられています。また、私たち日本人の総氏神さま・大御祖神さまとして尊ばれています。約二千年前の第10代崇神天皇の御代に皇居をお出になり、各地をめぐられたのち、この五十鈴川の川上にお鎮まりになりました。

・「宇治橋」(うじばし)

 鳥居をくぐって宇治橋を渡ります。この鳥居の柱は、内宮と外宮の両宮の御正殿の屋根を支えていた「棟持柱」(むなもちばしら)を用いています。
 現在の宇治橋は、遷宮に先立ち、平成21年11月3日に竣功しました。明治以降、宇治橋は遷宮と同時に新しくされていたのですが、第59回の式年にあたる昭和24年が戦後まもなくだったので、この年は宇治橋のみを新しくしただけで、遷宮は4年後の昭和28年に行われました。
 このときが例になり、遷宮の年の4年前に宇治橋の架け替えが行われるようになりました。
 宇治橋は長さ101・8メートル、巾8.42メートルです。橋脚は39本のケヤキを用いています。欄干の上に16基の擬宝珠を置いています。
 右手に見える山々が神路山で、下を流れるのが五十鈴川です。

ここでワンポイント!

川の中に立っている柱は、「木除杭」(きよけぐい)といって、川上から流れてくる流木が橋脚に直接あたらないよう宇治橋を保護している杭です。かけ替えのときには、すぐ川下に仮橋がかけられます。

・「神苑」(しんえん)

 玉砂利が敷かれ、芝生と松の緑が彩る参道です。毎年春秋の「神楽祭」には、神苑特設舞台が設けられ神宮の舞楽が公開されます。
 明治時代、後の大正天皇が皇太子時代に御手植えされた松があります。

・「火除橋」(ひよけばし)

 防火、火事除けの堀川に架かる橋で明治以前までは、この橋あたりまで神官や民家が立ち並んでいました。

・「手水舎」・五十鈴川「御手洗場」(てみずしゃ・いすずがわみたらし)

 手水舎で手を清めても良いのですが、天気の良い日はせっかくですから「五十鈴川」で心身を清めるのが良いでしょう。
 参道を右手に少しはずれ、川辺に下りてみます。清らかな五十鈴川の水の流れが心身を清めてくれます。

・「神楽殿」・「御饌殿」(かぐらでん・みけでん)

 第二鳥居をくぐり、やがて内宮神楽殿の前に至ります。向って右が「神楽殿」で、左が「御饌殿」です。ここで言う御饌殿は一般参拝者の方の御祈祷を行う所です。
 神楽殿では、神職・楽師・舞女等が奉仕しており、御神楽を奉納すれば「倭舞」(やまとまい)や「人長舞」(にんじょうまい)を奉奏していただけます。
 神宮では神社での祈願の際に行う玉串拝礼は行いません。
 また、神宮の神職の拝礼は八度拝といって特別な作法でお参りしますが、一般の人は二拝二拍手一拝の作法で拝礼いたします。

・御正宮(ごしょうぐう)

 石段をあがると御正宮です。御正殿にお祀りされているのは最も鄭重にはその御名を「天照坐皇大御神」(あまてらしますすめおおみかみ)と称えられます。そして、相殿神として天手力男神(あめのたぢからおのかみ)と万幡豊秋津姫命(よろずはたとよあきつひめのみこと)の二座がお祀りされています。
 建物は外宮のときにご説明しましたように外宮とほぼ同じですが、内宮では、千木は内削ぎ(うちそぎ)といい先端を水平に切ってあります。鰹木(かつおぎ)はご正殿が十本で、その他が八本あるいは六本と偶数になっています。
 神宮での大事な祭典は「五大祭」といい、2月祈年祭・6月月次祭・10月神嘗祭・11月新嘗祭・12月月次祭です。
 中でも神嘗祭、6月と12月の月次祭は「三節祭」(さんせつさい)と称され、祭典は午後10時と翌午前2時とにそれぞれ大御饌祭が行われ、正午には宮中からのお供え物を奉る奉幣の儀が行われます。

・荒祭宮(あらまつりのみや)

 「御稲御倉」(みしねのみくら)・外幣殿(げへいでん)の横を通り、荒祭宮を参拝しましょう。
 御稲御倉は三節祭で大神に奉る御稲が納められており、このお倉の守護神である御稲御倉神(みしねのみくらのかみ)がおまつりされています。「唯一神明造」(ゆいいつしんめいづくり)の特徴である掘立柱の様子がよく拝見出来ます。
 また、外幣殿には古神宝類などが納められております。
 荒祭宮は内宮の第一別宮で天照大御神の荒御魂をお祀りしてあり、御正宮につづいて、勅使、大宮司以下神職が当宮に参向して、祭典がとり行われます。

・参集殿(さんしゅうでん)

 再び神楽殿の前に来て、ここでお札やお守りをお受けください。帰り道は、神楽殿を右に曲がり、斎館に添って火除橋を渡って神馬のいる御廐を左の方へ折れると左手に饗膳所 があり、右手に参集殿があります。ここでお茶をいただき、神宮の御神酒、鈴飾り、書籍、DVDなどをお求めできます。

・神宮司廳(じんぐうしちょう)

 宇治橋の手前の右手に安産・子宝の神様がお祀りしてある子安神社があります。
 その左奥に「神宮司庁」があります。森の中にあるので参道からは見えませんが、ここが一般神社でいう社務所にあたります。