富山県神道青年会 遷宮啓発委員会
Header image

伊勢の神宮参拝記 – 外宮編

「外宮」(げくう)

 正式には豊受大神宮(とようけだいじんぐう)と称し、豊受大御神(とようけのおおみかみ)を御祭神とし、第21代雄略天皇22(478)年に鎮座されたと伝えられています。
 豊受大御神は衣食住の恩恵をお与えくださり、延いては産業の守護神と崇められています。今から約1500年前に丹波国から天照大御神の御食事をつかさどる御饌都神(みけつかみ)としてお迎え申し上げました。
 御垣内の東北隅に建つ「御饌殿」(みけでん) では、毎日朝夕の二度、天照大御神をはじめ神々にお食事をたてまつるお祭り「日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)」が御鎮座以来一日も絶えることなく行われています。

・表参道「火除橋」(おもてさんどうひよけばし)

 防火の為に造られた堀川に掛る事から火除橋と呼ばれています。

ここでワンポイント!

外宮の入口は実は二ヵ所あります。表参道と北御門で、弥次さん喜多さんで知られる十返舎一九の滑稽本『東海道中膝栗毛』の時代は北御門が徒歩での参宮者にとって主な入口でした。

・「勾玉池」(まがたまいけ)

 勾玉の形に似ていることから「勾玉池」と呼ばれています。
 湖畔には、平成24年4月7日開館予定の「せんぐう館」が建設中です。

・「手水舎」(てみずしゃ)

 火除橋を渡ると左手に手水舎があります。参拝の前に手や口を清める所です。
 柄杓には直接口をつけないようにしましょう。 
[手水作法]
 先ず、右手で柄杓を取り、水を汲みます(水を汲むのは1度だけです)
 次に、左手を清めて、左手に柄杓を持ち替えます
 次に、右手を清めて、右手に柄杓を持ち替えます
 次に、左手に水を汲み口を清めます
 最後に、残った水で柄杓を立てて柄の部分をすすぎます

・「外宮斎館」(げくうさいかん)

 第一鳥居をくぐると右奥に「斎館」(さいかん) があります。祭典のときに神職が参籠(さんろう=お籠り)する建物です。
 天皇陛下の御使いである勅使(ちょくし)や祭主(さいしゅ)、大宮司(だいぐうじ)以下神職がこの庭から列をととのえて参進します。天皇陛下や皇族方の御参拝のときにお入りになる行在所(あんざいしょ)もここにあります。
 左手には祓所 があります。大きな祭典の際にはここで修祓(しゅはつ)が行われます。

・「神楽殿」(かぐらでん)

 右側に外宮神楽殿 があります。ここでは参拝の方の申し出により「御神楽」の奉奏や「御饌」(みけ=お供)を奉奠してのご祈祷が出来ます。
 明治以前まではこの建物はなかったのですが、明治四年に御師制度が廃止になると、両宮の域内に祈祷所が建ち、その後、「神楽殿」と改称されました。お神札やお守、暦はここでいただけます。
 伊勢の神宮の神札といえば「天照皇大神宮」が一般的に知られていますが、ここでは外宮の豊受大御神の神札「豊受大神宮」がいただけます。また大御璽には産業を司る神様として〝稲穂〟がデザインされています。(内宮の神札は〝雲型〟です。)

・「五丈殿」・「九丈殿」(ごじょうでん・くじょうでん)

 神楽殿をすぎると右側に一本の榊が植えられており 、石で囲ってあります。これは外宮の宮地の四囲を守る「四至神」(みやのめぐりのかみ)です。ここは外宮の所管社の一社でお祭りのときには他のお社と同様に祭典が行われ、御饌や幣帛がお供えされます。
 またここに、板葺、切妻造の建物がありますが、これは「九丈殿」と「五丈殿」で、雨天のときの修祓(お祓)や外宮の摂社・末社、所管社の遙祀がここで行われます。
 この前の石原になったところを「大庭」(おおば)といい、遷宮祭の玉串行事や、幣帛点検の儀式がここで行われます 。

・御正宮(ごしょうぐう)

 御正宮 にまいりました。御祭神は「豊受大御神」で、相殿神(あいどののかみ)として御伴神(みとものかみ)が三座おまつりされています。
 衣食住の恵みや、すべての産業の守護神です。一番奥に高く見えるのが「御正殿」(ごしょうでん)です。その前方の左右には皇室からのお供えをお納めする「東宝殿」(とうほうでん=向かって右側)・西宝殿(さいほうでん=向かって左側)があります。この三つの建物を囲んで四重の垣があります。外から順に板垣(いたがき)、外玉垣(とのたまがき)、内玉垣(うちたまがき)、瑞垣(みずがき)で、それぞれの垣に御門があり、最初にくぐるのが「板垣御門」です。一般の方にお参りいただくところが外玉垣御門であり、その前方鳥居の向こうに見えるのが内玉垣御門です。さらにその向こうに瑞垣御門があるのですが外からは見えません。
 一般のお参りは「外玉垣御門」の前で行いますが、その内側は「中重」(なかのえ)といい、特別参拝とはこの「中重」に参入して行うものです。
 中重の中央には「中重鳥居」(なかのえのとりい)が立っています。この鳥居の左右には「石壷」(いしつぼ)という囲いがあります。ここにお祭りのとき向かって右側の石壺に勅使と随員が、向かって左側には祭主、大宮司、少宮司、禰宜が着座します。ここが皇室の弥栄と国家国民の繁栄と幸福をお祈りする聖なる祭場で、中重の右側の建物は四丈殿といい、雨天のときは中重で行う儀式をここで行います。
 特別参拝の際、受付を行う所が宿衞屋(しゅくえいや)といい、神職が一日中、交替で、深夜もずっと寝ずの番で神様にお仕えしています。
 外宮と内宮の違いはいろいろとありますが、その一つは外宮に御饌殿があり、内宮にはこれがないということです。外宮の御正宮の東北の隅にあり、ここで毎日朝夕のお食事が神々にお供えされています。
 外宮の千木は外削といい先端を垂直に切ってあります。鰹木の数は御正殿が九本で、その他が七本あるいは五本と奇数になっています。(内宮は何本か?お参りの時に見てみてください。)

・「多賀宮」・「土宮」・「風宮」(たかのみや・つちのみや・かぜのみや)

 正宮の参拝が済んでの帰り道、右側に多賀宮・土宮・風宮の掲示が見えます。この奥に別宮の三宮があります。「亀石」の橋を渡ってご参拝ください。
 多賀宮は、外宮の第一別宮で豊受大御神の荒御魂(あらみたま)をおまつりしています。御正宮参拝の後、直接お参り出来ない時は遙拝所で遥拝をいたします。
 土宮は、外宮の土地の守り神です。風宮は、穀物の成育に必要な風雨を司ります。
 その昔、蒙古襲来の際、神風を吹かせたと伝えられる神様です。

・「三ツ石」(みついし)

 多賀宮・土宮・風宮の遥拝所近くに俗に「三つ石」と呼ばれる石積があります。今でも遷宮祭の川原大祓はここですることになっています。昔、宮川の支流がここを流れており、大地震で埋まって、三つの池になってしまったと伝えられています。

・「御厩」(みうまや)

 参拝が終って駐車場へ帰るには、神楽殿のところを左にまがって行きます。参道の左側には皇室から牽進された神馬の「御厩」 があり、そのまえを進むと北御門口参道に出ます。火除橋を渡って右手に行くと駐車場に出ます。