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お祭り

加茂神社の稚児舞(国指定重要無形民俗文化財)

加茂神社(射水市加茂中部鎮座・野上克裕宮司)

今回は、射水市(旧下村)の加茂神社の稚児舞(国指定重要無形民俗文化財)について紹介したいと思います。

毎年9月3日~5日に秋祭りとして斎行されています。秋の実りに感謝する祭りで、五穀豊穣を祈る5月3日~5日の加茂祭(やんさんま祭)と対になる祭りとも言えます。

舞を舞う稚児は、祭りの2週間ほど前に選定式が行われ、氏子の小学生の4・5年生の男子の希望者の中から大稚児2名と小稚児2名が決定します。

選定式から2週間ほどで4名の稚児は賀茂御祖神社(下鴨神社)から伝わったとされる9曲の舞を覚えます。以前は11曲あったそうですが、子供が舞う舞としては難しく、現在では迦陵頻と御幣を持って舞う舞の2曲は舞われなくなりました。

この秋祭りでは古くからの習わしが多く踏襲されていますが、奈良時代から続く化粧方法や、4日の本祭り当日は祭りが終わるまで稚児は一切土を踏まないという故実は特筆すべき点であると言えます。

ではここから9曲の舞について紹介したいと思います。

①「鉾の舞」小稚児2人

この舞は木鉾を持って舞う舞で、悪魔を退治するという意味合いがあります。鉾の振り方は天地人を象ったものだと言われています。9曲中1番長い曲です。

②「林歌」大稚児2人・小稚児2人

舞楽の林歌から作られた舞ですが、曲譜が日本化され、9曲中1番短い曲です。

③「小奈曽利」小稚児2人

舞楽の奈曽利から作られた舞で、可憐な舞の中にも落ち着きがあり、動作は活発かつ柔らかなものとなっています。

④「賀古の舞」大稚児2人

太刀・弓矢を持って力強く舞う舞で、悪霊を退治する舞であると言われています。

⑤「天の舞」大稚児1人

唯一の1人舞で、面を被って舞います。リズミカルで変化に富み、優雅な舞です。

⑥「胡蝶の舞」大稚児2人・小稚児2人

舞楽の胡蝶からできた舞で、9曲中1番有名な舞かもしれません。背中に蝶の羽着け、花園で蝶が舞っているかのような舞です。

⑦「大奈曽利」大稚児2人

小奈曽利に対して大奈曽利と呼ばれています。面・赤熊毛を着けて舞います。活発な動作も面白い舞です。

⑧「蛭子の舞」小稚児2人

えびす神が鯛を釣る動作を模して舞う、神事舞の一種で、「鯛釣り」とも呼ばれています。笛の音により釣りへ勇んで向かう心、ゆっくりと海に近づく動作、釣り上げた喜びが表現されています。

⑨「陪臚」大稚児2人・小稚児2人

舞楽の陪臚から採った曲で、武の舞らしく太刀と楯を持って行う勇壮な舞です。この舞の終わりの際の動作は、戦に勝ち凱旋する姿のようです。

以上が全9曲の説明です。

言葉で表すことはなかなか難しいので、拝観いただけるとご理解いただけるのではないかと思います。

(野上裕樹)

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