平成23年度北陸神道青年協議会研修会
去る7月4日(月)、平成23年度北陸神道青年協議会研修会が新潟県柏崎市鯨波海岸「浪花屋」他で開催され、本会より浦会長以下7名が参加した。 当日は北陸地方の一部を集中的に豪雨が来襲する中、北陸道を一路北上して会場入りをし、志を朋にする北陸の会員各位と挨拶を交わし、復興祈願祭が斎行される八坂神社へ移動。
~復興祈願祭~
本研修の主管県である新潟県神道青年協議会の近藤会長が斎主を、以下同県会員が祭員として奉仕をした。 また石川県の大畠副会長(篳篥)、福井県の山本理事(龍笛)、本県より嶽会員(鳳笙)が伶人として奏楽奉仕し、東日本大震災からの復興と福島原発事故の早期終息を祈願した。引き続き、同社境内には復興祈念の植樹が行われた。
~開講式~
開講式では主催者として松本北陸神青協会長が挨拶、来賓として小林新潟県神社庁長、鈴木柏崎副支部長、佐藤神青全国協議会副会長はじめ、佐野、日下、村上全国協議会各理事が紹介された。 ~研修~ 研修①では、「地震への備え『自助・近助・共助・公助』の協働によるまちづくり」と題し、白川信彦前柏崎市復興支援室長が講演。「中越・中越沖地震の二度の震災を体験して未来へ引き継ぐべきもの」との主旨で、自身の行政側の仕事から「行政には限界がある」と感じたとし、柏崎市中越沖地震復興本部作成の資料内容を紹介し、震災時には「常日頃の人とのつながり」が大切とし、普段の挨拶や常日頃の意識した行動が大切と語られた。
続いての研修②では、「神社の復旧と復興を通して~その現状と課題~」と題し、佐藤明史八坂神社宮司が講演。中越地震・中越沖地震の被災時の状況を画像や当時の報道記事を資料として紹介。「地区の全員が集まる元祖・集会所」としての神社の役割について説明。復興基金や神社本庁災害等対策借入金などを紹介。また、震災発生時より神青協が社殿の応急措置などで迅速な対応があったことや、引き続く本殿遷座祭でも祭典ボランティア奉仕に対する感謝の言葉を交えながら、自社の震災と不審火による社殿の全焼を乗り越えた経験談をもとに、災害対策と今後の対応について講演戴いた。
~懇親会~
さらなる親睦を図るべく開催された懇親会では、開会の冒頭、福島県神道青年会会長である村上全国神青協理事より特にお申し出があり、現下の福島県の状況についてお話をいただいた。挨拶では、これまでの北陸神青協の迅速な復興支援活動に対する謝意が述べられた後、福島原発事故は社家の後継者問題にまで影響を及ぼしていることなど、痛切な状況であることが伝えられ、参加者一同は報道だけでは全く伝わらない同朋の困窮の状をあらためて知り、復興復旧への思いをあらたにした。
翌日の研修③に先立ち、震災からの復興状況を視察するべく、一同は講師をつとめられる原酒造へ移動。新装となった酒蔵や酒造タンクなど酒造りの工程の説明を受け、銘酒「越の譽」を試飲した。 研修③では、「震災をのりこえて」と題し、原吉隆原酒造社長が講演。冒頭、「地震の事は思い出したくないのが本音」としながら、「人的被害が無く、まだやれる。やらなければならない」と奮起し、社員の不安を取り除き、容赦無いマスコミ報道への対応に追われながらの復興への体験談をお話しいただいた。
~閉講式~
二日間の研修を終え、開式の辞に続き、神宮遥拝、主催者の挨拶があり、受講生を代表し本嶋石川県副会長に修了証が手渡された。来賓の鈴木副支部長からの挨拶があり、主管者として近藤新潟県会長より謝辞が述べられた。続いて、本会浦会長より次回開催県として、明年の富山県で開催される研修への参加をお待ち申し上げる旨、挨拶があった。「神道青年の歌」「美はしき山河」をそれぞれ斉唱。聖寿の万歳を三唱し、二日間に渡る研修を終えた。
~終わりに~
研修を終え、講師共通の講演の特徴として、講師の方々が時折「笑顔」を見せられていたことが深く印象に残った。中越・中越沖と二度の震災からはそれほどの時は経過していないにもかかわらず、それを乗り越えた充足感と、復旧・復興、さらなる振興へと未来へ向けた想いが三氏共にあり、震災をものともしない内に秘めた力強さを感じることが出来た。 佐藤宮司が講演の最後に、「困難は天が与えた試練。神様は乗り越えられない試練を与えない」との信念で復興活動に取り組んできたと語られていた。日本国民共通の試練として国難・東日本大震災を乗り越え、国民全体に笑顔が戻る日のため、我々、斯界の青年神職が今、何を為すべきかを考えさせられる研修となった。
(嶽徹)
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